国語を究めてみませんか④

2024年6月18日

 こんにちは、Zukkiです。

  物事の上達は対象への思い入れ、愛なしにはなされないのであれば、国語の学習もまた同じであるという話をしました。

 国語の学習として塾や家で日頃していることの中で、何か一つくらいは「これは面白いな」と思えるものがあるはずです。

 私の生徒にも色々いますよ。「ことわざを覚えるのが面白い」という子もいれば「辞書で色々な言葉を調べるのが好き」という子もいます。「スポーツ少年の上達物語なら色々読んでみたい」という子、「複雑な人間関係に悩んでいる女の子の物語は自分のことみたいで夢中になって読めちゃう」という子、「ハサミムシの生態を調べる説明文が面白かった」という子、と挙げていくとキリがないですが、「何でも満遍なくきちんとやらないといけない」などと思わずに「自分が好きなこと、嫌いなこと、やってみたいこと、やりたくないことって何だろう」と自分の心の中を事ある度に覗き込んでみましょう。塾に行く最大の目的は実はそこにあります。

 塾の勉強内容を自分で選べないというのは一見不自由に映りますが、自分の好みや興味とは関係なくランダムに色々なものに出会えるので「こんな面白いものがあるなんて」、「自分はこういうものが好きなんだな」と、気付くチャンスに溢れているのです。できたできない、分かった分からない、何点取れた、偏差値いくつ?こういう「塾のあるある」を一旦忘れて、「これはちょっと面白かったな」「この話の続きを知りたいな」などと思えることがあったかどうかを大事にしてほしいのですね。それがどんなものであれ、皆さんの国語力を伸ばしていく「はじめの一歩」になるということを忘れないでください。そこを掘り下げていくうちに、大きな鉱脈にたどり着く、それが勉強の面白さ、醍醐味なのですから。

おまけ

 「はじめの一歩」が先生の雑談だったという子もいます。昔話ですが、卒業生のノートに「ビールの消費量世界1位はベルギー。飲むのと同じかそれ以上に牛肉を煮るなど料理に使う」と走り書きでメモがありました(今はアメリカが1位らしいですが)。

「おい、未成年なのに不謹慎だな!」

とからかったら、

「先生がヨーロッパの旅行記をやった授業で脱線話をしたんじゃないですかあ。」

と大真面目に言う訳です。

「だって、洋梨とかプラムの匂いがするなんて本当にお酒なんですか。チョコレートみたいな舌触りとか言われたらいつか絶対飲んでみたくなりますよ!」(ベルギーのビールにはそういう香りや味わいのものが本当にあるのです)

 彼が言うには、それまでヨーロッパといってもフランスとかドイツとか大きな国ばかりしか思い浮かばなかったのがそうじゃなくなった。列車を乗り継いで色々な国へ行ってみたいと思うようになった。ということらしいのです。どうやればそれができるようになるか今は分からないけれど、今はもっと色々なことを知りたいと思うようになったそうです。尤も、彼はその後もしばらくは国語については私の雑談だけを楽しみに塾に来ていていたそうで、テストに行ってはコテンパンにやられていました。しかし、彼はいつも「今日先生はどんな話(雑談)をするのかな」と生き生きとしていました。その日々の中で自分が向き合えていなかった難題にもいつしか向き合うようになり、最終的には都内でも最難関と言われる学校に進学しました。「先生の雑談が楽しくて」という言葉を教える者としてどう受け止めるべきなのか、私は彼に教えられました。単なる息抜き、ましてや人気取りなどではない、その子にとってまたとない伸びる瞬間となるかもしれない時間。授業とはそういうものなのだと肝に銘じ、今もどこかで生徒から学び続けています。